今回は『敬語の使い方が面白いほど身につく本』の書評をしていきます。
本書は、敬語が苦手な人に向けて、過剰・マニュアル化・繰り返しといった“残念な敬語”から脱却するための考え方と実践例を、豊富なシーンを交えながら解説してくれる一冊です。
書籍紹介
| 書籍名 | 敬語の使い方が面白いほど身につく本 ―――あなたの評価を下げている原因は「過剰」「マニュアル」「繰り返し」 |
| 著者 | 合田敏行 |
| 出版社 | 明日香出版社（ビジネスベーシック「超解」シリーズ） |
| 発売日 | 2017年3月 |
概要
本書は、NHK放送研修センターの講師経験を持つ著者が、「敬語は難しい」「正しく話そうとして逆に変になる」といった悩みに対して、シンプルで効果的な敬語の使い方を指南する内容となっています。
冒頭では、「丁寧すぎる敬語」や「無意識に繰り返している言い回し」が逆に信頼を下げてしまうことを指摘し、敬語は“正しく”ではなく“自然に”使うことが大切だと説きます。敬語を磨くことは、相手に対する思いやりを表す行為であり、同時に自分自身や所属する組織の印象を高めるものでもあります。
具体的には、「『〜でございます』の乱用をやめる」「ビジネスにふさわしい挨拶とは何か」「部下や同僚にも丁寧語を使う意味」など、実際のビジネスシーンで直面する場面を想定して解説されています。また、「ありがとう」の表現を複数持つことや、否定を伝える際の敬意ある言い回しなど、言葉の引き出しを増やす工夫も数多く紹介されています。
本書を読むことで得られること
- 「正しい」より「伝わる」敬語の考え方が身につく
過剰な丁寧表現やマニュアル敬語ではなく、自分の言葉で自然に伝える敬語が紹介されています。 - 敬語を通じて信頼感を得る技術が学べる
丁寧すぎると距離ができる、フレンドリーすぎると軽く見られる、そんな微妙なバランス感覚が身につきます。 - ビジネスにおける言葉遣いの“格”を理解できる
「こんにちは」が実は適さないケースや、「さようなら」の代わりに使いたい表現など、場にふさわしい挨拶の知識が得られます。 - 感謝・謝罪・依頼の表現バリエーションが増える
「すみません」だけに頼らず、状況に応じた丁寧な表現ができるようになります。 - コミュニケーションの基本姿勢を見直せる
敬語は相手のためだけでなく、まわり全体の空気を良くする力があると気づかされます。
本書を読んだ感想
敬語に苦手意識を持っている人こそ、この本を読めば救われるはずです。形式やルールではなく、「どう言えば相手に気持ちよく伝わるか？」という実践的な観点から語られているので、非常に納得感がありました。
印象に残ったのは、「丁寧語を使う＝尊敬語を多用する」ではない、という指摘。過剰にへりくだった言い回しはかえって耳障りで、むしろすっきりとした言葉が信頼につながるという考え方は、すぐにでも取り入れたいと思いました。
また、巻末には敬語の基礎知識やクイズも収録されており、復習用にも使えます。堅苦しい内容は一切なく、ユーモアを交えながら読める構成で、最後まで楽しく学ぶことができました。
本書の評価
★★★★☆
シンプルな文章と具体的な例が多く、敬語の基本に立ち返りたい人に最適な一冊です。やや初心者向けの構成ですが、社会人歴が長い方でも「気づき」が得られる内容が随所に盛り込まれています。日常的に敬語を使うビジネスパーソンには特におすすめです。
本書がおすすめな人
- 敬語に苦手意識がある人
過剰な丁寧表現から脱却するヒントが得られます - ビジネスマナーを見直したい人
相手に失礼のない自然な表現が学べます - 接客や営業の仕事をしている人
現場で使える敬語フレーズが豊富です - 社内外の印象を良くしたい人
言葉づかいによる信頼アップが実感できます - 若手指導を任されている人
敬語の教え方に困っている場面に役立ちます
まとめ
『敬語の使い方が面白いほど身につく本』は、「丁寧＝正解」ではないという、新しい敬語の捉え方を提案してくれる一冊です。形式にとらわれず、相手の立場に立った言葉づかいを意識することで、人間関係がぐっと良くなる。そんな“ことばの力”を再認識させてくれます。日々のちょっとした会話から、ぜひ実践してみたくなる内容です。
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