今回は『22世紀の民主主義』の書評をしていきます。
本書は、経済学者・成田悠輔さんが「民主主義はこのままでいいのか?」という問題意識のもと、これからの社会で可能になる“新しい政治の形”を、挑発的かつユーモラスに提案する未来志向の一冊です。
書籍紹介

書籍名 | 22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる |
著者 | 成田 悠輔 |
出版社 | SBクリエイティブ(SB新書) |
発売日 | 2022年7月6日 |
概要
本書は、選挙や民主主義の限界に焦点を当て、「そもそも民主主義のルールを変えない限り、何も変わらない」という前提から出発します。著者は、現代の民主主義が機能不全に陥っている原因を、“高齢化”“政治参加の限界”“ネットによる分断”などの観点から多角的に分析。その上で、「選挙に行こう」ではなく、「選挙そのものを作り変えよう」という根本的な問いを投げかけます。
そして、その未来像として提案されるのが「無意識データ民主主義」や「余命投票」「政治家のAI化」といった、従来の政治の枠を飛び越えたユニークな発想です。人々の無意識のデータ(表情、行動、SNS反応など)をAIが解析し、民主的な意思決定に反映させるという構想には、思わず「そんなことが本当に?」と唸らされます。
ユーモアと鋭さを織り交ぜながら、21世紀後半〜22世紀にかけての“民主主義の再設計”を構想する本書は、単なる政治批評を超え、未来社会への刺激的な提言書として読めます。
本書を読むことで得られること
- 現在の民主主義の限界が明快に理解できる
若者の影響力の弱さや、選挙制度の構造的な欠陥に鋭く切り込んでいます。 - 新しい政治参加のあり方を考える視点が得られる
無意識のデータ活用や投票アルゴリズムなど、これまでにない発想が提示されています。 - 「政治は退屈」という感覚の正体に気づける
著者自身の“政治への無関心”を起点にした視点が、読み手に親しみと共感を与えてくれます。 - 未来の民主主義を構想する楽しさが味わえる
SFのようで現実味のある社会システムの再設計が描かれ、想像力が刺激されます。 - AIと政治の関係についての新しい見方が得られる
人間とアルゴリズムの役割分担に関する先進的なアイデアが紹介されています。
本書を読んだ感想
読み始めてすぐに、「これはただの政治本じゃない」と感じました。むしろ、政治に興味が持てない人にこそ読んでほしい一冊です。選挙制度を「ゲームのルール」と捉え直し、そのルール自体を作り変えようという視点は、とても刺激的でした。
著者の「政治に興味がない」という率直な姿勢は、多くの読者の共感を呼ぶのではないでしょうか。そしてその距離感からこそ見える、制度の“穴”や“可笑しさ”に対する指摘が、どれも的確でユニーク。選挙の未来を「ネコに任せよう」と語るユーモアの裏に、鋭いリアリズムが潜んでいます。
現実を変えるには、まず「当たり前」を疑うこと。本書は、そんな思考のスイッチを入れてくれる存在でした。
本書の評価
★★★★★
現代の政治や選挙にどこかモヤモヤしている人にとって、「こんな見方があったのか」と目を開かされる一冊です。ユーモアとロジックのバランスが絶妙で、楽しみながらも本質的な問いを深掘りできる内容。未来を考えるきっかけとして、幅広い世代に手に取ってほしい一冊です。
本書がおすすめな人
- 政治に興味が持てない人
「なぜ興味が湧かないのか」を考える視点が得られます - 選挙や民主主義の仕組みに疑問を持っている人
根本からの“再設計”という発想が新鮮です - テクノロジーと社会の未来に関心がある人
AIやデータ活用による政治の変化を想像できます - 硬い政治本に疲れてしまった人
柔らかく読みやすい語り口でスイスイ読めます - 未来の社会に貢献したい若い世代
現在の制度を超えた「次の時代」を考えるヒントになります
まとめ
『22世紀の民主主義』は、政治に関心を持ちにくい現代人の感覚に寄り添いながら、それでもなお「政治の未来」に向き合おうとする意欲的な試みです。私たちは“ルールの中で戦う”ことに慣れすぎていて、ルールそのものを疑う発想を忘れていたのかもしれません。政治が退屈だと思うなら、その退屈さを疑ってみる――そんな新しいスタートラインを、本書は用意してくれます。
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